月が綺麗だからなんだって話で

アセクシャルな人間の雑記

ふわり、とろり

窓を開けて、鼻からすっと空気を入れると、体中にふわりと広がる秋の香り

冷たくて、それでいて少し甘くて、鼻の奥がツンとして、涙が出そうになった

 

もう一度ふわりと充満させると、それは淋しい匂いで、今度は一筋だけ、涙がこぼれ落ちた

 

ころころとした音色を奏でる虫

さっと耳元を通りぬける風

さらさらと風に揺れる、刈り時の稲穂

 

見上げた先には星空が広がり、冷たい空気が、私をあたたかく包み込んだ

 

それは、まるでだれかの温もりのようで

 

心が、張り裂けるような、そんな痛みがした

心が、ぴしりと音をたてて、それから静かに割れた

心が割れて、中からとろり、とろりと涙が溢れた

 

淋しい

寂しい

 

秋は、静かに、私を傷つける

 

 

Sept.2014