付き合い始めの頃、私より恋人氏の方が嫉妬しいだった。同じ職場だったから私が男性と話しているところがよく見えて、彼は苦しい思いをしていた。
その頃の私は嫉妬といえば、彼の元カノのことばっかりで周りの人に嫉妬することはなかったから、彼の苦しさがいまいち分からなかった。
ところが、同棲を始めた3月あたりから、私は彼が私以外に発する「かわいい」に心穏やかでなくなることが増え、むしろ元カノはどうでもよくなった。今では普通に笑って元カノとの話を聞けるし、2人が飼っていたペットの話も聞ける。かわいいとも思う。つまりは、敵が「元カノ」というたったひとりから、「それ以外の全女性(彼のストライクゾーンすべて)」に移ったわけだ。
彼が他の女の子に「かわいい」と言うと、私も「あの子はたしかにかわいいな、ああいう人と付き合えるチャンスがあったらそっちに行くのかな」と思う。
彼が「あの服かわいいね」と言うと、私は「自分には似合いそうにないけど、本当は彼はあんな服が似合う人と付き合いたいんじゃないかな」と思う。
「あの子、意外とおっぱいあるんだね」と言われると、「私にはもっと大きくしてとか服着るとあんまり大きく見えないって言うくせに、私よりも小さいおっぱいの人のことは褒めるんだ」と思う。
「あのおしりいいね、ああいうズボン穿いてよ」と言われると、「他の人を性的な目線で見て満足して、お前もそうなれよ俺を満足させろよと言われてるみたいで嫌だな」と思う。
全部、自分に自信がないだけだ。
全部、私の被害妄想に他ならない。
彼からしてみたら、そんなつもりでは言ってないし、こんなに大事にして大好きでそれを伝えてもいるのに、なんでそんなに不安になることがあるんだと憤慨したくもなる。私が怒る度に「君が一番だよ、君しかみてないよ」と伝えているのに、なんでこうなるのかと。
私も、恋人氏が私のことを一番で思ってくれていることはわかっている。それだけ愛情もたくさん注いでもらっている。ちゃんと、わかってる。
ちょっと、度が過ぎてしまっている。好きという気持ちがなんだか大きくなりすぎて、よく分からない方に転がっていってる。良くない。これはきっとエゴだ。
「私だけを見て、私だけを知って、私だけをその世界に入れてほしい
私は誰のことも見ていないから、形の上でも心の上でも私と同じように誰も見ないでほしい」
ただの汚い独占欲で、支配欲だと思う。好ましくない。
素敵だなと思うのなら、自分もそうなれる努力をすればいい。
かわいいと思われたいなら、かわいくなる努力をすればいい。
相手の目を奪わず、相手の視界の中で一番素敵になればいい。
またこの1年も、私の中の大きな課題にもがき苦しみ、来年の今頃には「そんなこともあったなぁ」と思うことになるのかもしれない。
「あの頃あんなにひどいことを言って恋人氏を苦しめなくてもよかったのに...」
元カノのことについて散々ふたりでもがき苦しんだ去年を思い返して、そう感じる。来年また、同じように思いたくないから、足を地面にしっかりつけて、あんまり脳内お花畑にならずに、恋人氏とまいにちを過ごしたい。
また、たくさん笑える、明るいまいにちを過ごしたい。