月が綺麗だからなんだって話で

アセクシャルな人間の雑記

夜眠るときの話

特にたいしてこれといったことはない。

のだけれど、毎晩彼の腕に抱きついて寝るのが好きだな、とふとおもった。

 

セミダブルの狭いベッドで、彼は私が窮屈にならないようにとずいぶん端に寄って横になる。そんな彼を、少し真ん中に引き寄せて、その腕に抱きつく。いつも私が壁際で、彼の方を向いて眠るのだけれど、私は彼と付き合うまで壁を向いてないと寝られなかった。

誰かと眠る時はその人を壁際にやって、私は壁を向いて寝ていた。そのくらい、広い空間を見て寝るのが苦手だった。

 

じゃあどうして彼となら壁を向かなくても寝られるのかというと、まあ十中八九、安心感があるのだとおもう。

私は彼の方を向いて、ときには彼の腕に顔を埋めて、ときには彼の頭を抱きかかえて眠る。彼の向こうにある空間を感じても、その空間に虚無はないし、死も孤独もない。黒いヘドロが押し寄せてくることもない。

そこには彼と私の暮らす、あたたかい空間だけがある。

 

彼の傍は心地がいい。

静かにしてると眠たくなるくらい落ち着く。

私が壁を向かなくなったのは、人が一番無防備な「眠る」ときに全てをゆだねられる存在が私にできた、という証拠なのかもしれない。

喧嘩をした時は壁を向いてしまうけれど、彼の寝息が聞こえたらこっそり寝返りして、こっそり抱きついている。すごく好き。

 

1年前は、寝るつもりなのに色々と始まり気がついたら数時間も経っていて、へとへとになりながら寄り添って眠ることも多かった。

そういう夜ももちろん大好きだけれど、というか最近そんな夜はないので少し恋しい気持ちもあるけれど、今の私は、「電気消しじゃんけん」をして、おやすみとキスをして、彼の腕に抱きついて眠る夜が、一番好き。