月が綺麗だからなんだって話で

アセクシャルな人間の雑記

夢の中だけで会える人

夢の中で会えるととてもうれしくなる友人がいる。もう随分長い間会っていないけれど、会えたらおそらくちょっと照れくさい時間が数分あって、そこを越えれば昔のように話せる友人。

ある程度適当に応対しても、甘えても、弱音を吐いても全部受け止めて(受け流してたのかもしれない)くれてた人だからか、夢の中でも私を平然と甘やかし、くっつき虫な私に嫌な顔ひとつせずずっと腕を組んだり腰にまとわりついたりさせてくれて、「お腹が痛い」と言えば「寝る?」と足を伸ばしてくれて、「疲れた」と言えば肩にもたれさせてくれる。

この人が出てくる夢を見た時は一生寝ていたい気持ちになるし、朝は目が覚めて帰る世界がこちら側なことを恨むし、二度寝までは出てきてくれるので二度寝の時間がない時はその日一日がっかりした気分で過ごす。

夢の中のこの人とだけは、結婚したいなと思う。私の中の結婚の基準が自分でもよくわからないけれど、おそらく都合が良いからかもしれない。私にとってとても都合が良いから、夢の中のこの人のことが、私は大好きなのだ。

 

だから絶対に現実で会いたくない。

現実で会ったら、私の中にあるこの人の像が今のとても優しく都合のいい姿から自動的且つ強制的にアップデートされてしまい、二度と今の姿なこの人は出てきてくれなくなる、気がする。

実を言うと、とてもとても人として好きだった人なので、会いたい気持ちは会いたくない気持ちと同じくらいあるのだけれど、会ったときに得られるであろう喜びと夢に現れた時の喜びを比較した時、夢の中のこの人がいなくなってしまうことの方が損失が多い気がしてしまって、夢の中のこの人のことを好きな間は絶対に会いたくないなと思ってしまう。

 

この人が現実でどんな仕事をしていて、どこに住んでいて、どんな様子なのかは知りたくない。知りたい気持ちも同じだけあるけれど、現実の情報は何も知りたくない。元気であるならそれで良い。

この人が今どんな見た目なのかも知りたいけど知りたくない。夢の中の、9年前の、最後に会った時の私の好きな見た目のままで良い。背が高くなっていたとしても低くなっていたとしても、痩せていたとしても太っていたとしても、髭を生やしていたとしても爽やかになっていたとしても、情報の更新はしなくていい。話す時は絶対に見上げなきゃいけなかった記憶の中の姿のままでいい。

その人の中の私もアップデートしたくない。年相応に甘えん坊で、生意気で、仲良しで、時々ぎこちなくなって、一緒にいた6年とちょっとの私のままであってほしい。

 

夢に出てきた日から一週間は、毎日、「今日も出てきてください」と信じてもいない神様にお願いをしながら目を瞑る。大体お願いは聞いてもらえないし、聞かれたとしても早くて3日後。

毎日会うことはできないのに望んでしまうので、何もすることがない時間は直近の夢を反芻してしまう。何度も何度も反芻して、消えていく夢の分量をできるだけ少なくして、次出てきてくれるまで記憶に残そうとしてしまう。

でも大体3日目にはもう反芻することに飽きてしまうので、今までに見た何百回という最高のこの人の夢について覚えているものはひとつもない。今年だけでもおそらく10回は出てきていて(月1)、確か夏に2日連続で続き物として見れた夢が本当に最高だった気がするのだけれど、内容は何も、ちょっとの欠片も覚えてない。

 

絶対に毎日夢に出てきてほしいけれど、毎日出てこられたら私は絶対に起きなくなるし、絶対に泣くし、絶対に心身に不調をきたすと思うから、今くらいがちょうどいいのかも。

でも、週2くらいでこの人の夢を見られたら私、元気が出るかもしれない。

神様、上記いかがでしょう?