「お金持ってるオジサンいきなよ」
脳溶けてんのか。
私は自力で稼いだお金で趣味を楽しむことに喜びを見出しているのであって、他人の持つお金を使って遊びたいわけではない。
世の中にはそういう女性もいることは知っているけれど、私にその考えはない。
知らないの?あれだけ私としゃべっておいて?
今日会社で自炊おかずを詰めたお弁当を食べていたら、去年からたのしく話をするようになった年上の男性に「お弁当持ってきてるの?なんで?」と聞かれた。あのちゃんとKPOPアイドルにハマっていることでお金がいくらあっても足りない私が最近は落語にハマりだし、もともとのオタク気質も相まって休みのたびに休まず寄席や落語会に行っている。そんなこんなであともう倍くらいの収入がほしい今日この頃。少しでも落語にお金を回せるようにとお昼ご飯を家から持っていくようになったのだけれど、その説明を一通りした後でその男性がひとこと。
「お金持ってるオジサンいきなよ」
いくかバカ。私そういう下品な冗談、世界でいちばん嫌い。
「まだ若いんだしさ、おすしたべたーいって言ったら連れて行ってくれるオジサン、最高じゃない?」
「独身で、余裕があって、40代以上のやつ。割とその辺にいるよ」
「家賃と食費払わせて、自分の稼ぎは全部好きなことに使えるの、いいじゃん」
人のお金をなんだと思っているんだろうか、この人は。私が「稼いだお金」のことをどう思っていると思っているんだろうか。人から何かもらうには、こちらも何か差し出さないといけないこと、そういう女の子たちがそういうオジサンたちに差し出しているものが何か、わかっているんだろうか。こういう人間が、くだらないネット記事の釣りタイトルだけ見て知った口をきくんだろうな。
腹が立ちすぎてなかなか言葉にできないのだけれど、とにかくこの時の言葉の数々の問題点は上に記したとおり。
まず、自分の稼いだお金をそうやって使われることをこの人は想像してみたことがあるのだろうか。そういう使い方をすることが娯楽になっていたり、対価を得ることができてそこに満足感を得られる人間であれば、まあ人にお金を使われてもいいやと思うのかもしれない。が、私はそれをヨシと思わない人間で、そういうことは過去の事例を挙げながらこのおじさんには説明してきたつもりで、おじさんもわかってくれているのだと思っていた。だから失望した。私のことをそういうことができる人間だと思っているのだろうか、それとも女全体をそういうことをする生き物だと見下しているのだろうか。いずれにせよ、女は男に媚びていれば楽ができるのだという認識であることが窺い知れる。この時私はひどくバカにされた気持ちだった。
私が「働いて賃金を得ること」をどう考えているか、私が「給料を上げるために自分は何をやらねばならないのか」をどれだけ意識して日々働いているか、私が「少しずつでも上げ続けることができた年収」にどれだけの喜びを感じたか、私が「自分の足で生きていく」ことにどれだけの想いを抱いているか、そんなことをこのおじさんは知らないので仕方がないかもしれない。でもすごく泣きたかった。今晩のもやしを買うのも躊躇われるくらいの社会人一年目から、周りの人の協力と自分の努力とあとかなりの運でここまで、「遊びすぎたなー!てへ」と言ってしまえる生活ができるところまで、私はがんばってきた。そういうこれまでを、こいつは、私が「ある程度まだ若い女」であることだけを理由に踏み躙った。
そういう女の人がいるのも知っている。楽したい人間もいる。人のお金で生きたい人間もいる。でも私が男だったら多分今日こんなことは言われなかった。いや、言われたのかな、「女社長でも見つければ?」って。とにかくこいつは人のことを見下しているのだと思う。笑って「自分で稼いだお金で遊ぶからとっても楽しいんですよ」と言えた自分を褒めたい。
おじさんは知らないんだろうか、女の子たちがオジサンたちのお金をもらう代わりに何を差し出しているのかを。「貰うには対価が必要なんですよ、私はそれをあげられません」とまで言ったのに、「いやいや、いらないよ」って。本当にいらないんだと思っているのだとしたらそれはそれでオジサンたちのことをナメてるし、本当はいることを知っているのだとしたら要は私に「それを差し出してお金を貰えばいいじゃん」と言ったということ。人のことをなんだと思っているんだろう。屈強なマッチョに陵辱されて心身ともに病んでほしい。二度とそんなこと言えなくなれ。
自分はそういうオジサンたちとは種類が違うと思っている様子がありありと見て取れて非常に腹立たしい。こっちからしてみたらあんまり変わらないからね。
女にお金配れるオジサンになってから出直してこい。
なれないなら黙ってろ。