月が綺麗だからなんだって話で

アセクシャルな人間の雑記

彼女に1週間毎日最悪なことが起こりますように

新宿駅の山手線のホームから改札に向かう階段を上り切って少し。人混みの中を進んだら目の前から女の子2人がやってきて、仕方がない形で彼女たちの真ん中を突っ切ったら右にいた女の子が舌打ちをした。きれいな舌打ちだった。

「ああ、こういう人間もいるよな」と思って、最近得意になってきた「どうでもいい」という思考で素通りしようとしたけれど、改札を出る頃にはもう一度入って「舌打ちしたよね?」と声をかけてやろうかと思うほど、腹が立った。

バカな女なのだと思った。まっすぐ自分が歩けなかったことが嫌だったのか、友達と話しているのを邪魔されたことが嫌だったのか、私をブスだと思ったか、この世の全てにイラついたか知らないが、ものすごくきれいな舌打ちは訓練されているようだった。この女は日頃から舌打ちをしているのかもしれない。底の浅い人間だ、だとしたら。

私はこのバカと張り合えるくらい、バカで沸点が低い。本当は「舌打ちしたよね?」と声をかけるより、階段を降りる彼女を後ろから蹴飛ばしたかったし、それで彼女が階段を転げ落ちていったらせいせいするし、あのかわいいお洋服がビリビリに破けて、無様に転げ落ちたホームでスカートが捲れて下着でも晒されて死ぬほど痛くて恥ずかしい気持ちになればいいのにと思った。でもそんなことをしたら私が犯罪者になってしまうから。私の人生がおかしなことになるから。

だから、あのクソ女にこれから1週間毎日最悪なことが起こればいい、とちいさく願った。

毎日乗るべき電車を逃して、遅刻を繰り返し、人の信用を失えばいい。ちょっとした物をなくして、ちょっと不便になればいい。スマホが水没するのもいいと思う。バックアップなんてとるな。開けたばかりの弁当を、カーペットの上にひっくり返したり、コーヒーを白い服にこぼしたり、履く靴下全部に穴が空いたりしろ。財布を無くせ。カードを不正利用されろ。恋人に浮気されろ。泣いて縋って「面倒臭い」と言われて浮気相手の元に行かれてしまえ。友達が自分の悪口を言っている場面に遭遇しろ。それが何年も続く深い友情だと尚良い。職も失え。

それでボロボロになった頃に、自分よりかわいくて若い女の子に舌打ちされて◯ね。